「感情とともに生きる」とは、いつも穏やかに過ごすことではありません。
怒ったり、落ち込んだり、焦ったり、不安になったり…
そんな波のように揺れる心と、どう付き合うかを探っていくプロセスそのものです。
Vol.1では、「しなやかな心の筋力を育てる」ことについて触れました。
今回は、その筋力を鍛える上で欠かせない「感情を受けとめる力」に焦点を当ててみたいと思います。
怒り、悲しみ、罪悪感、羞恥、不安など、感情の中でも特に不快に感じるものは、できれば感じたくないものです。そのため、考えないようにしたり、他人や状況のせいにしてやり過ごしてしまうことは、誰にでもあります。
では、なぜこれらの感情が私たち人間に備わっているのでしょうか。
実は、これらの感情は、自分自身の価値観やニーズに触れた瞬間の反応だったりします。
無視したり抑え込んだりすることは、自分の内側にある大切な声を聞き逃すことでもあるのです。
よくある誤解ですが、「感情を受けとめる」ことは、その感情に従って動くことではありません。
「イライラしているから誰かに当たる」でもなく「不安だからチャレンジをやめる」でもない。
「私は今、イライラしている」「不安を感じている自分がいる」というふうに、自分の状態に気づく、感じるままを認識することです。
“気づく”ことと、“飲まれる”ことは異なります。
ここを区別できるようになると、感情との関係性が少しずつ変わっていきます。
強い感情が湧いたとき、いったん立ち止まってこう問いかけてみてください。
「この感情の奥で、私は何を大事にしているんだろう?」
イライラの奥には、「もっと丁寧に扱ってほしい」という願いがあるかもしれません。
不安の奥には、「失敗したくない」「認められたい」という思いがあるのかもしれません。
こうして感情を手がかりに、自分の内側にある“価値観”や“信念”に気づいていくこと。
それが、しなやかな自己理解と行動の土台になっていきます。
感情とのつき合い方に正解はありませんが、次のような小さな練習から始めてみるのも一つです。
💓強い感情が出たとき、「今の私は○○を感じている」と声に出してみる(心の中でもOK)
💓「その感情の奥にあるものは何か?」を一つだけ書き出してみる
💓感情に気づいた自分に「よく気づいたね」と一言かけてみる
感情は、人生を豊かにするための“羅針盤”でもあります。
それらに振り回されるのではなく、静かに向き合うこと。
そこから、自分らしい行動が始まっていきます。