「その子らしさ」は、どこから始まっているのだろう?
私たちは日々、子どもと向き合うなかで、こんな問いを抱くことがあります。
「どうしてこの子は、同じ説明でも分かりにくそうなのだろう」
「なぜ、場面によって力を発揮できたり、できなかったりするのだろう」
集中力、意欲、成績、行動。
つい“見えやすい結果”に目が向きがちですが、その手前には、目には見えにくい 「その子なりの前提」 が存在しています。
学習スタイルアセスメント(セルフポートレート™)は、まさにその前提である、一人ひとりの学びや関わりの土台を理解するためのツールです。
世界の教育や人材育成の分野では、「同じ方法で、同じように学ばせる」ことよりも、「どんな環境で力が出やすいか」「どんな関わり方で思考が動きやすいか」「どんな条件のときに安心して挑戦できるか」といった “学びの前提条件” を理解することが、重要視されるようになってきました。
学校教育だけでなく、企業研修やチームビルディング、コーチングの現場でも、学習スタイルや認知の傾向を把握したうえで関わることは、ごく自然な実践になりつつあります。そこにある共通認識は、「人は同じではない」という、とてもシンプルな事実です。
一方、日本では長いあいだ、「みんなで同じことを、同じペースで学ぶ」ことが教育の基本として大切にされてきました。それ自体は、協調性や忍耐力を育むという意味で、大きな価値を持ってきたのも事実です。
ただ、価値観や進路の選択肢が多様化し、正解がひとつではなくなった今、「合わないやり方」を続けることで、自信や意欲を失ってしまう子どもたちも増えています。
できないのではなく、合っていないだけ。この視点を持てるかどうかは、子どもを見るまなざしを、大きく変えます。
学習スタイルアセスメント(セルフポートレート™)では、まず最初に 「気質・学びの特性」 を見ていきます。
これは、性格を決めつけるものでも、将来を固定するものでもありません。
人との関係の中でエネルギーが巡りやすいか
自分の内側で考える時間が必要か
どんな場で安心しやすいか
といった、学びや対話の“入口”となる傾向を示しています。
たとえば、人とのやりとりの中で力が引き出される人もいれば、落ち着いた空間で、自分のペースを保つことで力が出る人もいます。どちらが優れているのではなく、前提が違うだけなのです。
この前提を知らずに関わると、大人も子どもも、どこかで無理が生まれます。けれど、気質や学びの特性を理解したうえで関わると、問いは自然と変わっていきます。
「この子は、どんな条件だと力が出やすいのだろう」
「どんな関わり方が、考える力を引き出すのだろう」
学習スタイルアセスメントは、子どもを評価するためのものではありません。誤解しないための地図であり、大人自身の関わり方を調整するための手がかりです。
このアセスメントが示すのは、「いま、この時点での姿」です。
人は、環境や経験、人との出会いによって、少しずつ表れ方を変えていきます。だからこそ、結果を“答え”として扱うのではなく、対話の入り口として使っていくことが大切です。
この子は、どんなときに表情がゆるむか。
どんな場面で、言葉が増えるか。
どんな関わりの中で、安心しているか。
その観察の積み重ねが、やがてその子自身の「自分はこういう人間だ」という感覚につながっていきます。
学習スタイルアセスメント(セルフポートレート™)は、子どもの可能性を急いで形にするためのものではありません。その子らしさが育つ土壌を、整えるためのツールの一つです。