コラム

なぜ私たちは「弱み」に目がいくのだろう?【その人らしさが、力になるとき Vol.1】

私たちはつい、「できていないところ」や「足りないところ」に目が向きがちです。

成績、行動、性格。

「ここがもう少しできたら」「これが直れば」と、無意識のうちに“改善点”を探してしまう。

それは、性格の問題でも、愛情が足りないからでもありません。

人の脳はもともと、不安や不足に先に反応するようにできているからです。

危険を察知し、失敗を避ける。

その仕組みは、私たちが生き延びるために必要なものでした。

だから、弱みに目がいくのはとても自然なことなのです。

加えて、私たちは長いあいだ、

「できないところを直すことが成長」

「苦手を克服することが努力」

という価値観の中で学んできました。

そのため、知らず知らずのうちに

「強みを見る」という視点よりも、

「弱みを探す」という視点のほうが、身についているのかもしれません。

けれど、弱みや欠点ばかりに意識が向いている状態が続くと、

心は少しずつ疲れていきます。

・挑戦する前から、自信を失いやすくなる
・がんばっても、達成感が残りにくくなる
・人と比べて、自分を小さく感じてしまう

これは、子どもだけでなく、大人にも起こることです。
ここで大切なのは、「弱みを見るのをやめよう」とすることではありません。

視点を、少しだけ増やしてみること。

そのひとつが、「強み」という見方です。

強みというと、特別な才能や、目立つ能力を思い浮かべる方もいるかもしれません。

けれど、ここでいう強みは、

・自然にやっていること
・がんばらなくても使っている力
・その人らしさがにじむ関わり方

のこと。

強みが発揮されているとき、人は少し表情がゆるみ、
時間を忘れ、失敗しても立ち直りが早くなります。

声のトーンが明るくなり、
いつもより少しテンポよく話していることもあります。

そこには、自然なエネルギーの流れがあります。

実は、強みは「持っているだけ」では力になりません。

使われているとき、行動として現れているときに、力になります。

ポジティブ心理学では、これを

「Value in Action(価値を行動として生きる)」

という言葉で表すことがあります。

大切にしていることが、

日々の選択やふるまいとして自然に表れている状態。

そのとき、人は「自分らしく生きている」という感覚を持ちやすくなります。

これは、無理に前向きになることでも、

欠点を見ないふりをすることでもありません。

「その人らしさが、ちゃんと使われているかどうか」

ただ、それだけの違いです。

これからの時代、正解はひとつではありません。

だからこそ必要なのは、

「自分は、どんなときに力が出るのか」

「どんな在り方が、自分を前に進ませるのか」

を知っていること。

強みを見る視点は、

自信をつくるためだけのものではなく、

「どう在り、どう進むか」を選び続けるための土台になります。

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