コラム

【Vol.3】強みを「育てる」ということ

あなたは、自分の「強み」に、意識を向けたことはありますか。

得意なことや、評価されてきたことではなく、「自分らしさが自然に表れている感覚」としての強みです。

強みは、見つけた瞬間に完成するものではありません。使われながら、関わりの中で、少しずつ形を変えていくものです。場面や関係性によって、表れ方や分量が変わることもあります。

私たちはときに、「この力、どう扱えばいいのだろう」と感じることがあります。

たとえば、親切心が、相手を思う気持ちの強さゆえに、少し踏み込みすぎてしまうことがあったり。まじめさが、自分を後回しにする方向へ向かってしまったり。責任感が、誰にも頼らず抱え込む力として働いてしまうこともあります。

それは、強みが間違っているということではなく、その力が、いまの状況に合うかたちを探している途中なのかもしれません。

強みは、成果や正解で測るものではなく、その人の在り方に合わせて、調整されながら育っていくものです。いつも目に見えるかたちで表れているとは限りません。けれど、ふとした瞬間に、その人らしさは顔を出します。

話している声が少し軽やかになったり、気づけば時間を忘れていたり。終わったあと、どこか満たされた感じが、静かに残っている。そんなとき、その人の強みが、自然に使われているのかもしれません。

強みが発揮されているとき、人は自分を大きく見せようとも、小さく守ろうともしていません。ただ、その場に合ったかたちで、自分の持っている力が、ほどよく外に流れている。その自然さが、表情や声、場の空気に、静かに伝わっていきます。

特に、子どもの強みを見つけ、育てていくとき。大人に求められるのは、評価や期待よりも、まなざしです。

・どんなことをしているとき、表情がやわらぐか
どんな場面で、時間を忘れているか
うまくいかなくても、また関わろうとするのはどんなときか

そうした日常の小さなサインは、結果ではなく、過程の中にあります。いまは目立たなくても、いまは扱いづらく見えても、その子の中に、静かに蓄えられている力がある。そう信じて見つめること。それが、強みを育てるまなざしの土台になります。

強みは、すぐに芽を出して、伸びていくとは限りません。

環境が変わったとき。役割が変わったとき。大人になってから、初めてその力が生きることもあります。だからこそ、「いまどうか」だけで決めないこと。

この子の中には、まだ言葉になっていない可能性がある。まだ形になっていない力がある。そう信じて預かる時間そのものが、子どもにとっての支えになります。強みを育てるということは、何かを足すことではありません。すでにあるものを、急がず、比べず、その人のペースで信じていくこと。

強みとは、その人がその人らしい感覚で世界と関わっていくための、ひとつの手がかりです。その手がかりが、少しずつ、日常の中で使われていくとき、強みはやがて、その人自身を支える、静かな力へと育っていきます。

関連記事

ページ上部へ戻る